非農家の息子が、農業を志した理由──苺農家への道のり

私は非農家の家庭に生まれました。
身近に農業がある環境ではありませんでしたが、進路を考える時期になると、自然と“農業をしてみたい”という思いが強くなっていきました。

「自分が育てたものを、人に届けたい。」

その気持ちに迷いはなく、高校・大学では農業を学ぶ道を選びました。

大学卒業後、農業の現場へ──苺の育種部門で働いた日々

大学を卒業すると、農業関係の会社に就職しました。
そこで配属されたのが、苺の育種部門(新品種づくりの部署) でした。

毎日、何百・何千もの苗や果実と向き合いながら、
“苺という作物の奥深さ” を徹底的に学ぶ日々でした。

現場は常に真剣勝負で、
“農業のプロが、本気で次の苺を生み出す場” でした。

この経験を通して、
作物は管理のわずかな違いで驚くほど表情が変わること、
品種によって個性がまったく異なること、
ひとつの果実ができるまでに膨大な試行錯誤が詰まっていること、

そのすべてを目の当たりにしました。

そしていつしか、心の中にひとつの想いが大きく育っていきました。

「自分も、生産者として作物と向き合いたい。」
「自分の農園で、自分の理想を形にしてみたい。」


2016年──福岡県広川町で、新規就農を決意

会社での経験を重ねるほど、
“自分の作物を、自分の名前で届ける”という夢は強くなっていきました。

そしてついに、2016年。
私は 福岡県広川町で新規就農 する道を選びました。

家族は非農家。
土地も設備もゼロから揃える、まさに一からのスタート。

不安もありましたが、
その何倍も大きかったのは、「農家として生きていきたい」という気持ちでした。

農地を探し、道具を揃え、環境を整え、
ひとつひとつ手で積み上げていく毎日。
大変なことばかりでしたが、それ以上に“自分の農業が始まった”という喜びがありました。

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