いざ、品種登録出願へ。そして商標登録へ

──覚悟を形にした日

綾美姫という名前が決まった日。
私は、静かにひとつの事実に気づいていました。

もう、後戻りはできない。

名前をつけた瞬間から、
この苺は「試作品」ではなく、
“守るべき存在”になったのです。

もし、誰かに真似されたら。
もし、勝手に名前を使われたら。
もし、この苺が自分の手を離れていったら。

そんな不安が、頭をよぎりました。

だから私は決めました。

「綾美姫を、ちゃんと守ろう。」

それが、品種登録出願という選択でした。

簡単な道ではありませんでした。
膨大な書類、細かい条件、長い審査期間。
しかも、相手は“国の制度”。

正直、何度も心が折れかけました。

それでも、やめようとは思いませんでした。

なぜなら――
ここで逃げたら、
綾美姫は“ただの苺”に戻ってしまう気がしたからです。

さらに私は、もう一歩踏み込みました。

商標登録です。

「個人農家が、そこまでするのか?」
そう思われるかもしれません。

でも私は、
綾美姫を一時の話題で終わらせたくありませんでした。

10年後も、20年後も、
「綾美姫」と聞けば、同じ苺、同じ想いが浮かぶ。

そんな“名前の価値”を守りたかったのです。

書類に向かいながら、
ふと手が止まった瞬間がありました。

「本当に、ここまでやる覚悟はあるか?」

答えは、すぐに出ました。

ある。

借金も、失敗も、遠回りも全部背負って、
それでもこの苺と生きていくと決めた。

それが、綾美姫だから。

こうして、
綾美姫は“想い”だけの存在から、
正式に、守られるブランドへと踏み出しました。

けれど――
本当の勝負は、ここからでした。

制度に守られても、
市場で選ばれなければ意味がない。

次回は、
「綾美姫を“売れる苺”に育て上げるための戦い」
についてお話しします。

綾美姫は、現在出願公表され、仮保護中                   

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